【プレスリリース】リチウムイオン電池向け正極材料の研究において日本有数の実績を持つ横国大・藪内教授と共同研究を開始

3DCは、2024年4月、リチウムイオン電池向け正極材料について日本有数の実績を持つ横浜国立大学・藪内 直明教授と共同研究を開始しました。

今回の共同研究を通して、1回の充電で従来よりも長時間使える高容量なリチウムイオン電池の開発に向けて検討を進め、電池の進化と脱炭素社会の実現に貢献します。

■共同研究を開始した背景

持続可能な社会の実現に向けて、脱炭素領域に多くの注目が集まっています。脱炭素を実現するための手段のひとつに「社会の電動化」があり、電動化の鍵として期待されているのが「リチウムイオン電池」です。リチウムイオン電池は、他の二次電池よりも小型かつ長寿命にできることから、EVの普及や再生可能エネルギーの導入拡大において重要な役割を果たすと考えられています。

リチウムイオン電池の性能の中でも特に重要なのが、1回の充電で貯められる電気の量(容量)です。リチウムイオン電池は1991年に商用化されて以来、その容量を決定づける活物質(正極材料など)を中心に進化してきました。

脱炭素社会の実現には、現状よりもさらに高容量の電池が必要です。しかし、リチウムイオン電池には「容量を向上させようとすると寿命や入出力特性といった別の特性が低下する」というジレンマが存在するため、研究は一筋縄ではいきませんでした。このトレードオフ解消に貢献できると考えられているのが、3DCが開発する次世代炭素材料「グラフェンメソスポンジ(GMS)」です。

リチウムイオン電池では、電極の導電性を上げるため、活物質の近くに「導電助剤」と呼ばれる材料を分散させる必要があります。3DCは、GMSを導電助剤としてアレンジした「導電助剤用GMS」を開発・販売しています。今回は、導電助剤用GMSを使用してリチウムイオン電池のさらなる高容量化を実現するため、リチウムイオン電池向けの高電圧正極材料について豊富な研究経験を有する横浜国立大学・藪内直明教授と共同研究を開始することとなりました。

■共同研究先:横浜国立大学 藪内直明 教授について

藪内教授

横浜国立大学 工学研究院 機能の創成部門 教授

2006年に、大阪市立大学大学院工学研究科 応用化学専攻 後期博士課程を修了。博士(工学)。博士取得後は、米国マサチューセッツ工科大学 機械工学科で博士研究員として研究に取り組む。2010年には東京理科大学 総合研究機構の助教に就任、2012年から同講師。2014年に東京電機大学 工学部 環境化学科 准教授に就任。2018年4月より現職。2023年4月より、横浜国立大学 先端科学高等研究院 先進化学エネルギー研究センター 先進蓄電池電池ラボ ラボ長 (https://acerc.ynu.ac.jp/) を併任、また、2023年6月に英国王立化学会のフェローに選出。

リチウムイオン電池の高機能化や、次世代電池であるナトリウム電池の開発などに取り組む。リチウムイオン電池向けの高電圧正極材料の開発に関しては、日本における第一人者。大手メーカーとの共同研究経験も豊富。GX実現を目指す国家プロジェクト「革新的GX技術創出事業(GteX)」の「高エネルギー密度を有する高温作動長寿命リチウム系電池の開発」において、正極材料開発のグループリーダーを務める。

研究室HP:http://www.yabuuchi-lab.ynu.ac.jp/

■共同研究の内容

リチウムイオン電池の高容量化を目指して、以下の2つの視点から共同研究を実施する予定です。

高電圧リチウムイオン電池の実現

リチウムイオン電池は、充電電圧が高いほど容量が大きくなります。しかし、従来の導電助剤は電圧が高いと劣化しやすいため、電圧が高くても耐えられる導電助剤が求められていました

今回は、藪内教授が開発した最先端の高電圧向け正極材料と、3DCの導電助剤用GMSを組み合わせることで、従来よりも高い電圧まで充電できる高容量なリチウムイオン電池の実現を目指します。導電助剤用GMSは「劣化に強い」「弾性変形することで電極の構造変化を吸収できる」という特徴があるため、高電圧リチウムイオン電池の実現に貢献できると期待しています。

リチウムイオン電池電極の高密度化を実現

電子デバイスの小型化やEVの軽量化に伴い、小型でもより多くのエネルギーを蓄積できるリチウムイオン電池が求められています。このような高エネルギー密度のリチウムイオン電池を実現するには、電極に正極材料をできるだけ多く充填する必要がありますが、電極を高密度化すると電池の性能が落ちてしまう点が課題でした。

今回は、藪内教授が開発した最先端の正極材料と、3DCの導電助剤用GMSを組み合わせることで、上記問題の解決を目指します

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